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ダルマさんが、しきいのところを通りかかったねずみに、キューピーさんはどこへ行ったか知らないかとたずねますと、ねずみはチューチューと笑いながら、
「それはきっと、この頃この家へ来た小さな三毛猫がおもちゃに持って行ったのだろう」
と言いました。
ソレッと言うので、縁側で日なたぼっこをしている三毛猫を捕まえてダルマさんがにらみつける。
兵隊さんが剣付き鉄砲を突きつけて、キューピーをどうしたかと聞くと、三毛猫はビックリして顔をなでて、
「イイエ、ニャンにも知りません。私はおじょうさんの帯だのまりだのはおもちゃにしましたが、まだキューピーはおもちゃにしたことはありません。おおかたそれはねずみさんが私をここから追い出すためにそんなわるい事をしたのでしょう」
と言いました。
皆はなるほどと気がついて、すぐに天井裏へかけ上って方々をさがしますと、すみっこの方でキーキーピイピイ泣く声が聞こえますので、ソレッと言ってはせつけました。
みるとかわいそうに、キューピーはお腹も何もピシャンコになって、青い眼を泣きはらして寝ています。みんなは大喜びで連れて帰って、寄ってたかってかいほうをして、もとの通りにふくらましてやりました。
三毛猫はその後大きくなって、家中のねずみを皆とって殺してしまいました。